腰部脊柱管狭窄症 前かがみ歩行や座ると楽になる方は要注意。

少し歩くだけで下半身にしびれや痛みが出て歩きづらい場合は腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の可能性があります。
安静にしている場合に腰痛などの症状はほとんどありません。
また前かがみになると痛みが軽減されるのも特徴の一つです。

腰部脊柱管狭窄症は脊柱管(せきちゅうかん)という脊髄の神経が通るトンネルが圧迫されることで発症します。
背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、脊柱管が狭くなり、ふとももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。
すこし前かがみになったり腰かけたりすると、脊柱管が広くなり、しびれや痛みは軽減されます。

自転車や買い物キャスターを押して歩くのは問題ないけれど、何も持たないで歩くと足や腰が痛くなるという話もよく患者さんから聞かれる症状です。

検査と治療

まずはレントゲン写真で、腰の変形やゆがみ、ずれなどの異常について検査します。
次にMRIを撮影し、神経の圧迫の有無を確認します。
神経に圧迫がない場合は下肢の動脈がつまって血行障害を生じた時にも似たような症状がおこりますので、ABIという検査で鑑別を行います。

脊柱管狭窄症の場合、まずは痛み止めの内服・外用、体幹トレーニングなどのリハビリを行うことが一般的です。
改善が見込めない場合は内服薬の変更・追加、硬膜外ブロック注射、神経根ブロック注射などを行います。

手術の必要性

痛みのために10分連続で歩けない状態や、下肢の筋力低下・麻痺、尿漏れや股間のしびれなどが、あるようなら手術が必要になります。

リハビリと日常生活

リハビリは主に体幹の筋力トレーニングがおすすめです。
ジムや自宅で取り組んでいただくとよいと思います。
ご自身で難しい場合は、外来リハビリなどで指導してもらえる場合があります。

日常生活は、痛みが出る行動はなるべく避けていただいた方がいいと思います。
歩行時に痛みが出るようなら、ストックをついたり、シルバーカーを押して歩く、自転車に乗るなどに変更した方がよいと思います。

間世田優文
整形外科医

間世田 優文 MASEDA Masahumi

平成15年 日本大学医学部 卒業
平成31年まで日本大学板橋病院で整形外科外来医長を務める。
専門は首や腰から起こる手足の痺れ・痛み・麻痺などを扱う脊椎外科。
埼玉県立小児医療センターでの経験から小児整形にも知見があり、全世代を通して地域を支える医療を志す。

  • 日本整形外科学会 専門医
  • 日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医
  • 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科専門医
  • 日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医
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