高齢になってくると軽い尻餅や重たいものを持つなど比較的弱い力によって背骨が損傷することがあります。
これは脊椎椎体(せきついついたい)骨折と呼ばれます。
原因としては骨粗鬆(こつそしょう)症によるものが大半です。
ですが、稀に腫瘍(転移性骨腫瘍)により骨が侵食される病的椎体骨折があります。
痛みが軽度のこともありますが、骨折のタイプにより痛みが長引くもの、下肢のしびれ・麻痺を引き起こすものもあります。
また、いくつもの場所に椎体骨折が生じると背中が丸くなり、身長が低くなる特徴があります。
そのため、年齢と共に猫背になり痛みが伴う場合は一度検査をお勧めいたします。
検査と治療
まずはX線(レントゲン)検査を行い、場合によってはCT/MRI/骨密度測定を行います。
骨粗鬆症による圧迫骨折の場合は、コルセットなどで固定し安静にすることで、3~4週ほどで椎体は潰れてくっつき痛みは改善します。
またお薬やリハビリテーションにより骨粗鬆症の治療をあわせて行い、再発防止に努めます。
手術の必要性
診察および検査を行い下記のような場合は手術を行うことがあります。
- 背骨の形を保ちたい場合
- 痛みが遷延する場合
- 早く痛みを取りたい場合
- 麻痺やしびれが出現した場合
身体の状態など様々な要素から総合的に判断し術式を選択します。
BKPと呼ばれるセメントを注入する方法や、HAといわれる人工骨を詰めてスクリューで固定する方法や、神経の圧迫部分の骨を削る方法などが行われます。
リハビリと日常生活
骨折し寝たきりになってしまうと身体機能は急速に衰えていってしまいます。
適度な運動とバランスの良い食事を日常生活から心掛けることが大切です。
また「〇〇をしているから私は大丈夫。」と過信せず、医学的に身体の状態を把握することも同様に大切です。
専門機関や専門家をうまく活用していただければと思います。